Le temps des cerises


パリ郊外、義姉の庭には、かなりの樹齢の立派な桜の木があります。
春の花の季節にはやわらかな淡い花をたくさん咲かせていました。
5月の半ばには、たくさんの葉で覆われ、
6月に入ると、みるみるうちにさくらんぼを実らせていきました。
摘んでも摘んでも食べきれないほどの大収穫です。
つやつやとしたぼんぼりのような愛らしい実は、
初夏のきらきらとした太陽に照らされて、
甘みとみずみずしさがたっぷりと閉じ込められています。
子どもたちは摘んだ実を、耳飾りにして遊びます。
旬の時期にもぎたてを食べるのが格別ですが、
その後も、コンフィチュールやタルトなど、お菓子へのアレンジも
いろいろ楽しめます。


さくらんぼの季節に思い出すフランスの古いシャンソン
“Le temps des cerises (邦題:さくらんぼの実る頃)”
日本では加藤登紀子さんが唄ったことで有名になりました。
歌詞は恋を唄ったものですが、
1875年前後に、パリ・コミューン(世界初の革命的自治政府)の
崩壊を嘆いたパリ市民たちによく歌われたことで、広く知られるようになりました。
さくらんぼの季節は、悩ましい恋の季節
そんな人生の青春を愛する、季節と恋心がうつくしく描写された歌です
以来、さくらんぼの実る季節は
フランスでは青春時代をたとえる表現にもなったそうです。