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パリから旬のエッセンスをお届けします。
数年前、パリの7区に誕生したブティックlUNXは、クリエーターの自由に任せて「香りの世界」を表現する画期的なプロジェクトとしてプレスの称賛を受け、人々を驚かせ、たちまち好評を博した。そのlUNXがHotel Costesの一角にリニューアル、注目を集めている。ハイブランドのブティックが連なるサントノーレ通り、ヴァンドーム広場の近く239番地、コスト兄弟の名を冠したホテル コストには、アーティスト、モデル、俳優、映画関係者など世界からセレブリティが集う。通りに面したひときわ目を惹く美しくモダンなウインドウ。オレンジ色の光とブラックのコントラスト、中に入ると光のバブルに包まれているかのようで感性が研ぎ澄まされる。そこは詩的な優雅さとテクノロジーが交わり合う香りのためのミニマリストスぺースだ。

建築デザインとテクノロジー
ブティックの設計、インテリアはあえて香水業界とは無縁のデザイナーたちに任せられたという。光とイメージをテーマとし、全く新しいルックスを備え、パルファンの世界にアプローチすることを叶えている。新たな試みとして香りを体感するための斬新なしくみが導入され、香りとデザインそしてテクノロジーが見事に融合している。
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香りのショーケース(テスター)
 

パルファンのラインナップの一部。LES BOUGIES DE IUNX 14種類の香りのキャンドルも展開。
左上: SPLASH FORTE DE IUNX EDT/ルージュカーマインの熱い水、ジャマイカの渓谷の樹々と燃えるスパイスのイメージ
右上: N°O9 EAU BLANCHE DE IUNX EDT/太陽に乾いた白い麻の布、その空気感を表現
左:L'ETHER DE IUNX EDP/やわらかく樹脂の燃える温かみのある空気がもれ出る、ピュアに包みこまれるように肌に吸いつくようにすべる、魅惑的なウッディトーン
lUNX's evolution エボリューション
伝統的な香水産業とその流通とは一線を画することを目指し、より芸術的、文化的な真の世界に近づきたいと、まったく新しいやり方で「香り」をプレゼンテーションするために、lUNXは独自の活動を少しずつ成長させてきた。スタート時にはlUNXブランドのために80もの香りのアイテムが創作されたが、その後レンジはミニマムに絞り込まれた。最近はシーズンごとに新しいクリエイションが追加されることも。

lUNXという世界
「IUNX」とは、古代ギリシャ語で「香り(パルファン)を介する魅力と誘惑」という意味。 lUNX PARFUMSは、パルファンによるマジックと詩的な美しさ、そしてモダニティのブレンドされた新たな香りの世界を生み出した。オレンジ色を浴びた黒を基調とした無駄を削ぎ落としたシンプルなアーキテクチャーが、香りの世界への期待感を一層ひきたてる。テクノロジーとの融合により、実にユニークな方法で香りを体感させてくれるのは、美しくディスプレイされたパルファンのショーケース、実はこれはマジカルにライトアップする「香りを嗅ぐ装置」=テスターなのだ。スイッチを入れると、香りがリリースされる、この新しいアプローチは香りをかぐ楽しみを深める方法で、香りとそのソースを発見する感覚をもたらせるという。このユニークなシステムは、それぞれの香水を香る間の休止時間をとることにも配慮されていて、人の嗅覚の試香のリズムを生成してくれる。

パルファンとテクノロジーが一体となり香ることの楽しみ、喜びをさらに惹きたてる。これは「香り」という目に見えない無形の世界が、ラグジュアリーであり、人々に熱烈、情熱を提供することを意図しているそうだ。

販売されているパルファン、キャンドルの香りはOlivia GIACOBETTI オリヴィア
ジャコベッティによる調香。香りは、異なるフォーム、液体あるいは固体を呈し、ここではそれらの香りを嗅ぎ、試し、触れて感じることができる。


Olivia GIACOBETTI/ オリヴィア ジャコベッティ – Perfumer/ 調香師
Olivia GIACOBETTIは、物語のように香りを創作する、彼女はそれをユニークな的確さで日々の生活にもたらす。日向ぼっこの白いシャツ、水を浴びる、森で深呼吸する、あたたかな森林の息吹、パルファンは躍動感あふれ、生き生きとしている。
その繊細な感性、感度と経験により、1つのパルファンから別の芳香のパターンまでをも見つけることができるという彼女だけのスタイルは、IUNXの特徴にもなった。芳香は広がり、シフトし、深く我々を感動させ…それらは自由で、タイムレス、永遠で、男性にも女性にもふさわしく、両方を満足させてくれる。

調香師を夢みて
子どもの頃から調香師になりたかったオリヴィア・ジャコベッティ。
10歳の時に観たYves Montandが世界的に有名な調香師を演じた映画「Le Sauvage」の舞台となった島、香水を作る作業場などをよく覚えているという。そして彼女は取り憑かれたように調香師になることを夢みるようになった。17歳のときAnnick Goutalに出会い、
わずか数ヶ月後にはフランスの有数の香料会社Robertet/ロベルテ社のアシスタントパフューマーになった。メロディとハーモニーを夢見る前に、てなずけなければならない2000以上ものノートによって構成されるソルフェージュ。海のような忍耐を必要とするものだったが、香りへの愛は強く、他のことは何もしたくなかったそうだ。同時に、時代思潮の中で、常にトレンドに気を配ることも要求された。ロベルテ社で経験を積んだ7年間、彼女は時々グラース、しばしばパリで過ごした。彼女が最初に手がけた香水は、Le Petit Guerlain ベビー/キッズのためのオードトワレで、彼女が23歳の時、Jean-Paul Guerlainと共に調香したもの。

オリヴィアのクリエイションスタイル
その後、自らのプロジェクトをスタートし、市場にある香水はあまりにも抽象的過ぎることに気付いたという。彼女にとってのモダニティはどこか他のところにあった。イチジクの木、熱い砂、太陽に乾く麻を夢見る、そんなストーリーを伝えたかった。その瞬間をとり戻すため 感情、ビーチ、火、あるいは街を香水のフラコンに詰めるために。 Diptyque, l'Artisan parfumeur, Hermès, Mariage Frères, Philippe Starck, Andrée Putman, les Editions de Parfums Frédéric Malleと自由にクリエイションができる環境で作品を発表し、その才能を発揮した。2003年にlUNXが彼女の人生に入り込み、創作の大きな自由の約束、完全なカルトブランシュが与えられた。


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Diptyqueのためのイチジクの木のキャンドルとPhilosykosの香水は、幼少期のインスピレーションから創作したという。「私は陽にあたるイチジクの木の香りが大好き。その葉の甘くあたたかい匂い、果物としての実の香りは、私を地中海の想い出に連れ戻してくれます。私は前進すればするほど、さらに匂いのパワーに気づかされていきました。 香りの中にはマジックがあります。どうやって完全に目に見えない気体が多くのことを表現することができるのか。香りの世界はシンボルの世界であり、それは無意識なものに関係があります。私はこの希薄な繊細さと言語表現の奥深さをとても愛しています、私たちの感情とのほとんど「動物」的な関係も好きです。」

最近は、有機栽培の天然香料を使った香水ブランドHonore des Pres/オノレ・デ・プレの創作への参加、ピエール・エルメとのコラボレーションやパティスリー・デ・レーヴといったお菓子の世界のクリエイターと組んでパリのデザインウイークに発表とさらに香りの分野を広げ活躍している。

香りを体感する
UNXの特異性は、オリビアが単独でワークすることにある。調香師が自由を与えられ、街から離れて歩き回ることができ、世間の常識から外れ、ファッションのトレンドからも離れたところで自由に創作活動を行うことができるところだ。 著名な香水メゾン、ファッションブランドの香水とは一線を画した香りの世界が人々の心を掴んでいる。ブラックとホワイトの二重性、ダークなインテリアとモダンなアキテクチャー、赤々とした夕日のような光がパルファンを中心に展開するエモーショナルなスペース。とっておきの香りと触れ合う時間を過ごせるだろう。訪れる価値あるパリのアドレスだ。

lUNX PARFUMS PARIS
239 Rue Saint-Honoré 75001 Paris
TEL 01 42 44 50 14
Metro: M1 Tuileries
http://www.iunx.fr/
http://www.hotelcostes.com/



 
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