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パリから旬のエッセンスをお届けします。
1643年創業、世界最古のワックス製造メーカーのブティックCire Trudonはパリ6区の中心、サン シュルピス教会Eglise Saint-Sulpiceの傍らに佇んでいる。当時のろうそく作りの模様を描いた絵、リトグラフや、アンティークの燭台が飾られた店内は、過ぎし世紀のエスプリを彷彿させる。石作りの階段をアーチ型の地下カーブへ下りていくとそこはやわらかな灯りの空間。昔から変らぬキャンドルの光に包まれ、そこに配されている絵画、版画、調度品は、私達を暫し現実から、華麗なバロックの世界へタイムスリップさせてくれる。

数世紀にわたり教会の灯として
Maison de cire Trudonは太陽王ルイ14世即位の時代に、ろうそく作りをはじめた。その後、ヴェルサイユ宮殿にキャンドルを納めるようになり、同時にフランス全土、ほとんどの大聖堂、教会向けのキャンドルを製造するようになった。そして17世紀から今日まで数世紀に亘りたくさんのキャンドルを作ってきたという。パリのサン ロック教会Eglise Saint-Rochなどでは1643年以来今もなおCir Trudonのキャンドルを使い続けているそうだ。

多彩なラインアップ
カラフルなストレートキャンドルが一面に飾られたディスプレイが視覚を楽しませる。店内には教会用、家庭用のクラシックなタイプから日常使いのもの、香りのキャンドルまで、色も形も豊富にそろう。リュクスな香りのキャンドルは12種類。ネーミングはRoi Soleil, La Marquise, Trianon, Revolution, Empireなどa la Francaiseを意識して調香されている。La Marquise はトップノートがヴェヴェヌ・シトロネル、ミドルノートはホワイトフラワー/ローズ、ラストノートはローズウッド/シードル。パウダリーでかぐわしいサロンでのポンパドール侯爵夫人との会話、その甘く柔らかいながらも才気あふれる雰囲気をイメージしているという。香ってみると何ともいえずさわやかな優美さと奥深い落ち着きが絶妙に調和して漂ってきた。

人々の暮らしに定着しているキャンドル、その使い方は
フランス人にとってキャンドルは日常生活に欠かせないもの。もともとは灯りをとることが主な用途であったが、近年ではインテリアにも活用されている。日中は近隣のマダム達、夕方からは若い男女で店内は賑わうという。人気のアイテムや使い方についてお店でたずねてみると「最も日常的に使われているのはストレートキャンドルです。お客様が持っている燭台のタイプにあわせて長さ、形状をアドバイスします。ラウンドキャンドルは暖炉の上に置いたりしますね。サイズや高さの違うものを複数使ったり、シーンによって色々な楽しみ方もできます。ボールキャンドルはデコレーション用に、灯を点さずに飾る人も多いですね。色や形状などコーディネイトの相談にのることもあります。マナーにこだわらずそれぞれのスタイルによって自由に使って構いませんよ。キャンドルの光はソフトなのでリラックスできますし、ロマンティックな雰囲気作りにも欠かせませんね。」とのこと。

300年以上もの長い年月を経た今もろうそく専門店として確固とした存在感を有しているが、ブティック全体のしつらえにはモダンなテイストが上手く取り込まれている。歴史的背景をベースにした旧き良きものと新しい要素の融合、フランスの文化を感じられるお店である。



下:教会用キャンドル



右上:
リュクスな香りのキャンドル


CIRE TRUDON / シール
78, Rue de Seine 75006 Paris TEL 01 43 26 46 50
営業日 月~土
Métro: M4/M10 Odéon


 
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